「未題」

なんだっけ



2008.

「開け放つ」

網戸は半分外に居るような気分になるけれど、
その実、空気の流れがほとんどできていない。

あ、埃多い網戸の場合。

虫覚悟で開け放つと
寒いくらいに新しい空気が届いた。

わたしは網戸じゃなくて窓でいこう。


2008.10

「未題」

裸眼だと手もとのコップが見えない。
注ぐやめどきが毎回判らない。

たくさん飲むのでできるだけ満たんにしたい。

こぼれるまで入れてればいいんだと思い付く。

でもこぼしちゃいけないんだと思いつき結局かがむ。

2008.10

「1本の髪の毛」

クルクルとまるまる

幾重にも他方向にかさなり繋がる円

いつか見た宇宙の図式と重なる、というとオーバーか


身近でいうなら葦

にんげんは考える葦である、ということば


すべての植物につながる曲線


2008.10

「未題」

何段でも跳ぶのが怖くなかった跳び箱、小学生
楽しくさえあった跳び箱

高校では4段さえ、いや何段でも、踏み台で止まってしまった

いまは鉄棒の前回りさえできない


なぜ？

比喩ではなくて。


2008.10

「感じる」

かなしかった。

かなしかった。

かなしかった。


ただ悲しかった。

終わっているんだ。
灯火に過ぎないんだ。


2008.8

「．」

”グー　チョキ　パー”のやりかたさえ
分からなくなってしまった


何処かに居るはずのウナギイヌが
一晩中夜空を派手に光らせてくれていて
それが綺麗だった　なぜかぬくもり

安心して目を閉じる

2008.

「ひらひら」

冷たい足であるく

冷たいその足の
ベクトルをつま先の
その先へ


2008.8

「．」

ボタボタと音がする

宙づりになる

いきの根がとまりそうだ


2008.7

「物足りない指先」

パソコンのキーボードが
ピアノだったらいいのに

ずいぶん前からそう思っているのですが

そしたら　あんた
ひとり手軽に好きな旋律を弾いて
歌えるんですよ


2008.7