「ヘソ」

屋久島のヘソには縄文杉がありますが、
（もっと古い樹が森何処か深くに隠れているかも知れませんが。）

わたしの部屋のヘソにはテーブルヤシの樹があります。


真ん中に置いた途端に
わさわさとラピュタの樹のように全方向に膨らみ始めました。


2009.3.

「卒業生答辞」

宇宙のはじまり

受精の瞬間走る電気の波

それは涅槃

ニルヴァーナ

悟り


あなたの、ほっぺにチュがおしえてくれたこと


2009.

「三鷹台」

親が「星好き」なら、
幼い娘達は台に乗せてもらいながら天体観測望遠鏡を覗く。
「見えました。」

親が「野鳥好き」なら、
日曜早朝から記録紙片手に姉弟分かれて双眼鏡を覗く。
「今日は○○ばっかしだね。」


散歩犬は絡まり合う。

「この公園が大好きなパパでした」

そうだ、わたしもベンチを贈ろう。
あなたの名前を刻んで。
毎週そこに通って静かに本を読もう。



2009．

「（未題）」

小袖の手首
白い月

キンモクセイ

安らかなる顔は美しい
でも安らか過ぎる顔の時、
人のたましいは既にそこにない
気がする



2008.

「（未題）」

わたしのこころの棲みかは

あなたです。

あなたもです。

あなたも。

あなたにも。


2008.12

「ちょっとずれた」

自分は地球の染みだとおもってた

でもちがったんだよ

地球はそんな思いさえのみこんで巡るデカさ　エネルギーのかたまり


2008.12

「あんたがたどこさ」

遺言は末永く威力を放つ。

その力を利用して、生きてる者の未来を幾重にも縛るのは卑怯よ。

ひとりの人間の分量を超えている


登場人物の、誰がどれほど苦しいかなんて、
誰にも計れないのよ。

2008.

「めめすけ」

ある夜
つつつと
糸をつたって
あなたが降りてきました

さんざん雨が降り
冷えきった静かな夜でした

部屋には小さな灯りしか
なかったので
あなたのことはよく見えませんでした

でも
目が合っているのはわかったよ

あなためめめすけでしょう


2008.

「バラ色 夢より」

「はい、バラ色」
と言って
私の口にピンク色のものを一錠あなたが入れようとしました。

怖くなって、
咄嗟に口をつぐんだ私は
「これって口臭や体臭や排泄物がバラ色になるってやつ？」
と尋ねました。

「ううん、違うよ。バラ色になるの。すべてが。」
と叔母は繰り返しました。


2008

「夢から」

あなたはわたしなのに目の前に居ました

あなたの頭にそっと触れました

温かいことに驚きました

頬や首筋、鎖骨、肩
骨があり肉がつきその感触はなまめかしく、生きもののそれでした

あなたが温かいことを知りませんでした

健気に生きてるのよ、
とあなたの身体が言っていました


2008.11