「おもいだしだんす」

2008.9.

90x129（mm）
メモ帳に水性ボールペン、水溶性色鉛筆、白色修正ペン

点景 「あちらとこちら」

いつものように祖父の仏壇に手を合わせる

あ、でもお盆だからこっちに居るんだったと思い、
辺りを見回してからまた目を戻す

遺影がズレていたから正面に置き直す

鼻先が一瞬仏壇の中に入る

そこは”あちら”の匂いがした。
気がした

結構いい匂いだね、と思った


2008.8

「．」

立秋のころから鳴きはじめた虫の声。

夜、聴こえてくると
ほんとうに心安まる

まだ、少ないだけに
耳を澄まさないと届かない

そこに心安まる


2008.8

「感じる」

かなしかった。

かなしかった。

かなしかった。


ただ悲しかった。

終わっているんだ。
灯火に過ぎないんだ。


2008.8

「．」

”グー　チョキ　パー”のやりかたさえ
分からなくなってしまった


何処かに居るはずのウナギイヌが
一晩中夜空を派手に光らせてくれていて
それが綺麗だった　なぜかぬくもり

安心して目を閉じる

2008.

点景 「豆」

総武線に群馬の少年サッカークラブ乗り込む。

すずなり。
すずなり。

新宿を過ぎ座席が一列まるまる空き、
大人ひとり分の幅にふたり座る。

豆みたい
でこっぼこっ、でこっぼこっ
”おそ松くんかよっ”

引率役母親と目が合い思わず微笑む

でこっぼこっ、でこっぼこっ！
わさわさわさ


皆子どもだから一様に線は細いが、
顔・身長・幅・行動・佇まい．．．、すべて大きく異なり
そのわさわさ加減に心躍る

善い豆を見た


2008.8

「ひらひら」

冷たい足であるく

冷たいその足の
ベクトルをつま先の
その先へ


2008.8

「本日の3点盛り」

2008.8　

「．」

ボタボタと音がする

宙づりになる

いきの根がとまりそうだ


2008.7

「物足りない指先」

パソコンのキーボードが
ピアノだったらいいのに

ずいぶん前からそう思っているのですが

そしたら　あんた
ひとり手軽に好きな旋律を弾いて
歌えるんですよ


2008.7