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~日常を離れてつくったものたち~ 創作文・写真・絵
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「庭」

以前のうちには箱庭のような庭があった。
雨が降る日の夜、
よく2階の弟の部屋の雨戸を開けて見ていた。

静まりかえったくろい葉々に当たる水の音。
無造作にパズルのように積み上げられた貝殻に当たる雨の音。

真四角な庭に落ちる雨。

ささやかな音に耳を傾けていた。


2001.10
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「はる」

春が来た。

今日来た。

明日もいる?


春の効き目。

  気持ちまでたかーくなること。晴れ晴れあっぱれ。
  いつもより口が大きく開いていること。


恥ずかしがってた女の子が顔を出した。

今まで呑み込んでいた、
おどる身体や、ギャグたちが、すこしずつ、でも、
大きく大きく伸びながらおもてに出てきた。

それはもうすぐ多分止められなくなるくらいになるんだろう。



作成年月日不明
「荻窪駅周辺」

24時に出勤しても街はにぎやか。

品出しする綺麗な大学生の女の子。

路駐してサンドイッチを届ける人。

新しい雑誌を勢いよく台車で運ぶ人。

大声で「See you!!」と叫び合う2人の外国人。

腰がものすごく高いフィリピン女性。


「おつかれさま」と言ってくれる人が多いことに驚く。

休憩に入る警備員。

三つ子みたいに紺のスーツに身をつつむ3人の男性。

通れない階段を、フェンスをよけて通ろうとする人。

3、4度行き来を繰り返す若者。

チラシをねじ込む ゴワゴワ頭の人。


怒鳴り疲れ果てて寝てしまう所長。


駅長は4時にシャッターを開ける。


そして、夜明けは意外と早く来る。

始発に乗る会社員は実はけっこういる。


2004.10.
「もーちゃん」

うすい髪 ぴゅっとした前髪、やわらかい髪。

濃いまゆげの下に、
強い瞳。 おじいちゃんのように老成した瞳。

グラインダーで欠けた歯。 殴られた傷の遺る口の中。

バランスが悪かった柔らかい肩は 今はすっかりかっこ良い。

短い爪

キャンバス地のバッグには一式何でも入ってる。

困ると黄緑色のタオルをくれる。

白いシャツ
がんばりやの背中
ピカピカの白い愛車

ツナ缶
ももの缶詰
アヲハタのコーン

必ず残しておいてくれる

「おー」と言う。
「エーン」って言う。
「こうすることしかできない」って言ってた。

絵を描くために生まれてきた人。
それしかできない尊い人。

2004.
「南熱海の温泉」


温質は主に塩化ナトリウム。
乾燥して掻きむしった脚がぴりぴり。
ふやけた皮膚が端から溶かされてゆくよう。

檜の匂い。
客ひとり。
炭石鹸は残り数ミリ。
サウナはまるでトイレのように密室。

現われた仲間は、バリバリの関西弁で、お気に入りのネックレスを忘れて、「じゃあよい旅を」と挨拶して出ていった。
そしてすぐに走って戻ってきた。
湯の気持ち良さに、浸かり過ぎのぼせてしまった私は、全てをうなだれながら観察。
2005年正月。

「手当たりしだいの夏のおわり」

ならばあなたは他人の気持ちなんて考えないのでしょう。と言われたから、私は情けなくなってナミダがこぼれ堕ちてしまった。どこの世界に他人の気持ちをおもん量れない人がいよう。あなたの気持ちも重ね重ね考えたに決まっているではないか。だからこうしてこの場にいるのではないか。なぜいつだって、あなた方は私がなんにも考えなしに右往左往好き放題に手脚を伸ばしたと決めつけるのか。

2006.8.
「自己紹介」


強い人、だとか
優しい、だとか、謙虚だとか、
イイコだとか、かわいいだとか言われます。

それは取り繕っているから。

本当は
すぐ消えたくなるもろい心と、
常に皆に気を掛けていてもらいたいという高いプライドと、
人よりできると思われたい虚栄心と、
最後はわたしを選ぶだろう、という根拠のない自惚れ
でできている私です。

一緒にいると鋭い人ならそれが解るでしょう。

誰にだってアラはある。
ずっと一緒にいるよ。
愛してるよ。
ホントにいい子だよね。
日に日にあなたを好きになってる。。。。

皆、時間が経てばウンザリしていました。

近頃こんな自分に手を焼いています。



マイペースとか、
なに考えてるか分からない、とか、
変わってるとか、
クマ顔だねとかいわれます。

それはよく見ていないから。

本当は
心の中を嵐にして協調性を総動員しているし、
目の前に居る人と分かり合おうという努力を継続しているし、
顔のマッサージしてる。

あなたの話は聴きたくありません。
もういいよ。
肉欲でしかない。
どすこい。
考え過ぎだよ。。。。

「どんなところ見てしまっても尚一緒にいたい」
そう言ってくれたのは生きててたった一人だけでした。

近頃、伝わってないんだなぁ、
もっとムチ打たなきゃダメなのかな〜と思っています。



2006.7.

「陽のしずむ」

時間が溢れるほどにたくさん。

手からこぼれ落ちた。

髪を切った少女。

手からこぼれ落ちた。

山から伝わる鼓動。

手からあふれ落ちる。

あふれ出したのは愛。

いつしかの、通りすがりの誰かからのもらった愛。


2006.7.

「おどりましょう」

おどりましょう

パンツ一丁でも

お気に入りの服を纏っていても

そんなのどちらでも構わないんです

ほおに当たる一番の気配を感じなさい

つめの先まで意識をとどかせて


地面に根が生えてる限り、あなたは生きている

繋がっている

こんな雨上がりの夜

風と新しい空気のなか




2006.6.

「親水公園」


桜が散っていました。
ちらちらと一枚ずつ。ピンク色の花びらが。
おだやかな風に運ばれて
岩や水面やアスファルトの上に ゆっくりと落ちていました。

まだ踏まれず、濡れてもいない落ちたての花びらは、
咲いているときと同じように 柔らかそうでピンク色。


サンドイッチを見たから思い出してしまいました。
三角形の美味しいサンドイッチ。
片手に抱えられた3つのパックと、しゃがんで書かれた領収書。

鼻水がのびても、
目が腫れても、
その桜の美しさと相まって
悲しくて悲しくてたまらなかった。

もうまっ赤な顔してるとわかっているのに。
皆が心配するのが目に浮かぶのに。

ハラハラと、次から次へと舞い落ちる。


2006.4.

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